第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
マネージャーが靴を脱がせ、天がベットへと寝かせた春人。
その顔色は随分と良くなり、静かに胸を上下させている。
少し前までは 苦しそうに呻き声を上げていたのだが、今ではそれも治った。
「壮五くんの言う通り、疲れが溜まっていたのかもしれないね」
「はい。きっとそうですよ」
「いやいや、ぜってーカレーのせいだかんな」
「………」
「??
天、どうかしたか?」
楽は、天を見つめて 声を掛ける。
実は、春人をベットへと下ろした時から ずっと天の様子がおかしいのだ。
何かを深刻に考え込むようなそぶりで、自分の手をじっと見つめている。
まるでそれは、触れてはいけない物に 触れてしまったような。自分の手に宿った違和感を、懸命に探っているような。上手く表現出来ないが、そんな具合だった。
「…うん。なんでもない。
プロデューサー、最近ずっと今日の企画考えてたみたいだったし。本当に疲れていたのかもね」
「だな。
それにしても、よく寝てるな」
「そうだね。しばらく寝かせてあげようか」
TRIGGERの3人は、春人から離れようとしなかった。3人ともが物柔らかな表情をして、眠るプロデューサーを ただ見つめていた。
僕は、そんな彼らの表情を見て 思った。
本当に、春人の事を大切に想っているのだな と。
その温かい表情は、テレビで観るのとも、ステージの上で見せるのとも違っていて。彼らが心を許した春人にだから見せる、3人の素顔なのだろう。