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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ




【side 逢坂壮五】


真っ青な顔をして、なんと春人は地面に突っ伏してしまった。
そんな彼の周りで、メンバー達は心配そうな顔を揃えている。


「ぅ、うぁぁあ!!中崎さーーん!死んじゃやだぁー!」

「…くっ、春人…」

「惜しい人を亡くしてしまった…」

「四葉環も龍も黙って。ギリギリ生きてるから」

「どうされたんでしょうか…心配ですね…。疲れでも溜まっていたのかな」


僕がそう言うと、全員の視線がこちらに向けられた。皆んな 何かを言いたげだったが、一様に口をつぐんだ。

なんだか気不味い沈黙が続いた後、マネージャーが口を開いた。


「と、とにかく、中崎さんをコテージへ運びましょう!私、ベットの用意をしてきます!」

「あ、はい!お願いします」

「春人くん、すぐに楽な場所に寝かせてあげるからね」


そう言って、龍之介が春人の体の下へ腕を差し入れようとした。しかし その時、天が眉を潜めて言った。


「いつもなら、この人を運ぶのは龍だけど。今はキミ、お酒入ってるでしょ」

「そうだけど、大丈夫だよ。絶対に落としたりしないから」

「あ、はいはーい!じゃあ中崎さんは、俺が運ぶ!」


環は そう言うが早いか、春人の元へ屈む。

そういえば、以前は 春人の事をえりりんと呼んでいたと思う。一体いつからだろうか?彼が呼び方を中崎さん と改めたのは。

ぼんやりと、そんな事を考えていたのだが。突如として、天の冷たい声が 場を凍りつかせた。


「触らないで」

「な、」

「キミは触らないで。ボクが運ぶから」


凄い剣幕で、天は軽々と春人を抱き上げた。

この時はただ、環が春人を落としてしまうのが心配だったのかな。なんて思っていた。

実は、こんな考えは丸きり的外れなのだが。だからといって、本当の理由を、僕が知り得る事はなかったのである。

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