第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
そろそろ拗ねるのもこれくらいにしておかないと、引っ込みが付かなくなる。
さて、どうやって皆んなの元へ帰ろうか。そう考えた時だった。
壮五が、手に何かを持って こちらへ駆け寄ってくる。
『??
逢坂さん、それは?』
「あ、実はこれ…中崎さんにも食べて欲しくて」
どうやら食べ物らしい。壮五は、上へかけられたラップを剥がす。すると、紙皿に入った それ が姿を現した。もはや嫌な予感しかしない。
『ぅ、…まさか、この、目に滲みる それは…』
「これは、僕と環くんが作ったカレーです!」
『どうしてそれがまだあるんです!スタッフが、美味しく、全て頂いたはずでは!?』
「どうしても春人さんにも食べて欲しくて、1人前だけ取り置きしてもらったんです。さっき、レンジで温めて来たので すぐに食べられますよ」
なんという事だろう。これは、報いなのだろうか。面白い映像をカメラに収める為、あの4人に無茶をさせた…
ならば…
『TRIGGERのプロデューサー、中崎春人。心して…いただきます』
「や、やめろーー!!」
「おい馬鹿!死ぬぞ!やめろ!」
誰かの声がする。大勢が、こちらへ駆け寄ってくる気配も。
しかし私は、後ろを振り返る事なく…物体Xを口に運んだ。
まず最初に、口が爆発した気がした。
「おい春人!馬鹿野郎!」
「もう食うなって!!ストップ!ストップ!!」
「ちょ、やめ…!って、春人くん力強いな!!」
龍之介が、私の腕を掴んで 食べるのをやめさせようとするが。私はその手を休める事なく匙を動かした。
食道が、爆発した気がした。
「わぁ、こんなに勢い良く食べてもらえるなんて!ほらね、環くん!やっぱり僕達が作ったカレーは美味しいんだよ!」
「んっなわけ、ねーじゃんか!!」
やがて、皿の中は空になる。
「嘘、でしょ…」
「っ、中崎さんっ!私の声が聞こえますか!?大丈夫ですか!?」
「マジかよ…完食とか…。おい!お前、体は何ともねぇのか!」
「春人くん!!」
『……………』
胃が爆発した気がした。
そして、その瞬間から…私の記憶は途絶えた。
バタリ