第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
「あの…中崎さん?さきほどから、凄い勢いでお酒飲まれてますけど…大丈夫ですか?」
『…飲まなきゃ、やってられませんよ』
私と紡の 裏方2人の隣では、TRIGGERとMEZZO"が大いに盛り上がっていた。
「僕も知らなかったよ!まさか環くんが、いつの間にかそこまでLioを…。恋するくらい好きになってたなんて!」
「ほ、本気で言ってんのか?あ。あれか!お前も逢坂と同じで、あいつのファンって意味の好きか」
「ちっげーし!!俺だってLioのこと、性的?な目で見てんよ!」
なんてこった。環は私を、そんなふうに見ていたのか。
「そうかそうか!あっははは!じゃあ環くんは、楽のライバルって事になるな!」
「八乙女さんとライバルだなんて…凄いじゃないか環くん!良かったね!」
「良かったね。楽も」
「「何も良くねぇ!!」」
環は串を。楽は缶ビールを。ウッドテーブルの上にバァン!と置いて叫ぶ。
「大体、Lioが好きだ好きだ言ってるけどよ。四葉は実際にライブ行った事あんのか?」
「う……そ、それは、ねぇ けど…」
「ふ…っ。そうか。そうだよな。あいつ、1回しかライブしてねぇし。まぁ、俺はそのたった1回のライブに行って、歌も聴いてるけどな」
「うわ。大人気ない」
「ははっ。楽はLioの事になると、目の色が変わるからなぁ」
環よりも、自分の方がLioと接点があると自慢する楽。そんな彼を見て、天と龍は違った反応を見せていた。
「え、八乙女さん…あの伝説の、デビューライブに行ったんですか!?わぁ!信じられない…!凄い!羨ましい…!」
「ふふん。だろ?」
「な、なんだよ!ライブぐらい!そーちゃんなんか、LioのCD持ってんじゃんか!!」
『っぶっ……!!げっほ…!ごほ』
「中崎さん!?だ、大丈夫ですか!?」
ビールが気管に入ったと思われたのか、背中をさすってくれる紡。しかし、原因はそれではない。
とにかく、壮五とは後でゆっくり話をする必要がありそうだ。