第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
「ほら楽。四葉環は素直に答えてくれたでしょ。聞いたからには、キミも言わないとね」
「お、おい天!余計なこと言うんじゃねぇよ!」
「わぁ!抱かれたい男No.1の好きな人って、どんな人なんですか?僕凄く興味あります…ぜひ教えて下さい!」
「なぁリュウ兄貴!もっとお肉ある?」
環はまるで興味なさそうだが、代わりに壮五が盛大に食い付いた。私は心の中で、楽が口をつぐみますようにと祈った。そして平静を装い、紡の相手をしていた。
「あっはは!楽の好きな人は、あの Lio なんだよなぁ。な!楽!」
「ふっ、ふふ。さすが龍。平然と言ってのけるよね」
「なっ!じゃねぇよ…っ。またお前は簡単にバラしやがって!っつーか龍、ちょっと酔ってるだろ。笑い声大きくなってんだよ!」
「あっはは!」
「え…、Lioって、あの、Lioですよね!す、凄い!実は僕も大好きなんです!」
「お前も?」
キラキラと目を輝かせる壮五に、楽は目を大きくした。しかしすぐに壮五は訂正を入れる。
「あ、でも好きって言っても 大ファンだって意味の “ 好き ” ですけど」
「なんだよ、そういう事か」
「八乙女さんは、そうじゃないんですか?」
「あぁ。俺の “ 好き ” は、性的な目で見てる方の好きだ」
そんな好きがあってたまるか。
私は、空になった缶を 右手でぐしゃりと握り潰した。
「言い方は最低だよね。なに。性的な目で見てるって」
「は?最高の褒め言葉だろうが。ま、お子様の天にはまだ少し早かったか」
「少なくとも、キミのような大人にはなりなくないよ」
楽と天の小競り合いを聞きつつも、私は環が気になって仕方がなかった。
環は、私がLioである事も知っている。と、いう事は…だ。
楽の好きな人が、私であると理解出来てしまう。
環の性格上、それを黙って聞いているのは不自然なのだが…。
「……はぁぁ!?俺のが、俺のが絶対にがっくんより、 Lio のこと好きだし!!」
恐れていた事態が勃発した瞬間だった。