第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
『何やってるんですか。スタッフさん達を待たせて…
早く現場に戻って下さい』
なかなか戻って来ない4人を、コテージまで迎えに来た。そこには案の定、ぐったりとして微動だにしない彼らがいた。
「…キミは、あれを食べてないから…そんなふうに言えるんだ」
『ナイスファイトでしたよ』
「天の、言う通りだぜ…。口が、とれるかと思った」
『楽。人間の口はとれたりしません」
「助けて、春人くん…口の中が、ずっと燃えてるみたいに熱いんだ…」
『牛乳飲みます?』
TRIGGERがここまでへこたれているのは、初めて見る。
と、隣に転がっている環も口を開いた。
「俺も死ぬかと思ったんだかんな!!いくらあんたでも、やっていい事と悪い事…が、あんよ…。ん??
なんか 良い匂い、する」
環は、怒っていた事など忘れてしまったかのように鼻をすんすんと鳴らした。
『スタッフさん達が今、バーベキュー串を焼いてくれているんですよ。だから、早く戻って下さい。
肉を焼いているところと、談笑風景と、エンディングトークを撮れば撮影は終了です』
「やったーー!お肉だバーベキューだー!」
『四葉さん?くれぐれも撮影中にお腹をいっぱいにしようとなどは思わないで下さいね?撮影が終われば、その後にちゃんとフリーの時間があるんですから』
私は念を押す。環は、分かってるって!と元気良く立ち上がった。そして、私の腕をとってコテージから飛び出した。
ぐんぐんと走る環に、私はなすすべなく付いて行く。物凄くテンションが上がっているようだが、さきほど言ったことは本当に理解してもらえたのだろうか…。
そんな不安な気持ちのまま、撮影は再開したのだった。