第39章 組み紐をひいたのは
現場は、再びスタッフ達の準備で慌ただしくなる。次の出題までの時間に私は、TRIGGERの3人と談笑などしていた。
『残念でしたね。さし飲みはまたの機会ということで』
「楽は凄く頑張ってたのにな…俺が不甲斐ないばっかりに!」
「言っとくけどな、べつに俺は あんたと飲みたかったから頑張ってたわけじゃねえぞ」
「ださ。あんなに汗だくで必死になってたくせに。今さら否定して何の意味があるの?ださ」
「おい天、さっきから黙って聞いてりゃお前な!ダサいダサい言うんじゃねえよ!カメラの前でも言ってただろ!」
そろそろ準備が整うだろうか?ちらりと現場に目を向けると、少し離れた場所にいる環と目が合った。
彼は、へらっと幸せそうな笑顔をこちらに向けて手を振った。私もすぐに手を振り返す。
彼のおかげで、撮影は大いに盛り上がった。いつでも素直で裏表のない環。あのキャラクターがお茶の間に受けるのは頷ける。
「準備出来ました!皆さん、定位置にスタンバイお願いしまーす!」
『スタッフさんが呼んでますよ。引き続き頑張って下さいね』
「おっと、皆んなを待たせたら悪いね。早く行こう楽。じゃあ春人くん!次こそは俺達が活躍してみせるよ!」
『期待しています』
果たして、事はそう上手く運ぶだろうか。次のお題は、かなりの変わり種を用意してある。
「2敗じゃ格好つかねえからな。次は絶対勝つぜ。
まぁどうせ、あんたの事だから 普通の題目は用意してないんだろうけど」
楽のその予想はズバリ的中している。が、私はあえてイエスともノーとも答えない。ただ、お楽しみに。とだけ言って、彼らをカメラの前に送り出したのだった。