第39章 組み紐をひいたのは
「おい四葉!これ使え!」
そう言って楽が手渡したのは、うちわの様な形状の大きな葉だった。
それを受け取った環は、すぐさま風を送り込む。
「おぉ!ちょーイイ感じ。サンキューがっくん!」
「壮五くん、多分このままじゃ新聞紙だけが燃え尽きて、炭にまで火が回らないよ。小枝か何か、もう少し追加した方が良いと思う。これ使って」
龍之介はそう言って、壮五に自分が集めていた小枝を託した。
壮五は頷いて、それを手際よく火中へと放り込む。
「ありがとうございます十さん!凄く良い感じです」
やがて…
「「「「点いたー!」」」」
赤々と燃える炭を前に、汗だくの4人。彼らは代わる代わるハイタッチをして、課題のクリアを喜んだ。
「良かったな!一時はどうなる事かと思ったけどよ」
「やってみれば、何とかなるものですね!」
「やったーー!あ、でも、リュウ兄貴達の助けがなかったら、無理だったかも」
「そんな事ないよ!環くん凄く頑張ったもんね」
テンションが爆上がりの4人に、天は呆れた声で言う。
「ちょっと。何やってるの。企画の趣旨、覚えてるよね」
「「「「あ……」」」」
「まぁ、もう取り返しつかないから強引に勝敗を決めるよ。
今回は、MEZZO"の勝ちで」
天は、環と壮五の方に軍配を上げた。
「やったーー!そーちゃん!俺らの勝ちなんだって!」
「嬉しいけど、いいのかな…。かなりの協力プレイだったんだけど」
「ま、しゃあねぇな。今回は勝ちを譲ってやるよ」
「そうだね。実際に火種を起こしたのは環くんだったわけだし。おめでとう!2人とも」
爽やかに勝利を譲るTRIGGERを前に、壮五は感激した様子で答える。
「あ、ありがとうございます!お2人の協力のおかげです!あと、一生懸命 組み紐をひいたのは、うちの子です!この子が本当に頑張ってくれました!」
「そーちゃん。恥ずかしいから、俺をうちの子って言うのやめてってば、なぁ」