第39章 組み紐をひいたのは
と、その時だった。
「!!そーちゃん!今なんか!今なんかオレンジの光見えた!!」
「あ!ほんとだ!」
環は手を休める事なく、組み紐を左 右、左 右と引き続ける。するとどんどん光は大きくなる。それは、明らかに火種だった。
「どーすんのこれ!どーすんの!?」
「ど、どうしよう!あ…そうだ!」
壮五は、環の頑張りを無駄にはすまいと真剣に頭をひねる。すると 何か策を思いついたらしい彼は、ポケットに手を入れ、ある物を取り出した。
それは、ポケットティッシュだ。壮五は手早く1枚取り出すと、火種へと近付けた。すると、いとも容易く火はティッシュに燃え移る。
「あつ、あつつ、」
「すげぇ!めちゃくちゃボーボーに燃えてんじゃん!」
壮五はそれを、石造りのバーベキュー台へと放り込んだ。そこには、新聞と炭がセットされている。
ティッシュから新聞へ、順調に火は燃え移った。
「やった!これで俺らの勝ちだよな!」
「まだだよ、これはただ新聞紙が燃えてるだけなんだ。ここから炭に火を移さないと…!えっと、たしか風を起こして酸素を送るんだ!」
「風…!じゃあ俺、ふーふーする!?」
「息じゃ弱いかな!それよりも、うちわとか何か扇げるものがあれば…」
大きな背を屈めて、息を吹きかける環。扇ぐ道具がないか、辺りをキョロキョロする壮五。
そんな慌ただしい2人の元に、楽と龍之介がやって来る。
「お前ら凄いな!火点いてるじゃねえか」
「本当だ!あと少しだね」
「そうなんですけど、でも扇ぐ道具がなくて、風を送れないんです…」
「ふーっ!ふーっ!っぅ、げほ!けほっ」