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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第39章 組み紐をひいたのは




約2名がヤル気にみなぎっているのは、明らかだった。撮影が再開した途端、両チームは早速火起こしに取り掛かる。

進行の天がカメラマンと共に、順に様子を見ていく。まずは、TRIGGERチームの方だ。


「うぉおおおー!!」

「うわ。ウザ。あつ」


凄い勢いで 組み紐を引く楽を見た途端、天はごくごく小さな声で呟いた。


「凄いよ楽!ほら!もう煙が出て来てる!」

「はぁ…はぁっ、よし!で!?この後はどうやって炭に、火を移すんだ!?はぁ、はっ、」

「えっと……さぁ?」


汗だくの楽は、その手をピタリと止めた。せっかく煙の上がっていた箇所は、もれなく完全に沈黙。


「さぁって何だよ龍!お前火起こし得意だっつってたじゃねえか!」

「そ、そんな事言われても!俺だってこんな原始人みたいな火起こしは未経験だよ!」


ギャーギャーと騒ぐ大人2人に、天は冷ややかな視線を送った。
そして気を取り直し、笑顔をたたえてカメラを見やる。


「さぁ次は、MEZZO"チームの様子を見に行ってみましょう」


少し離れた場所で、環と壮五も大格闘を繰り広げていた。紐を引くのは環、上部の板を支えるのが壮五だ。


「ぅらぁあー!中崎さぁぁーーーん!!」

「うん!環くん!すごく頑張ってるのは伝わってくるけど、TRIGGERのプロデューサーさんの名前を叫ぶのはやめようね!」


環は何故か、私の名字を絶叫しながら紐を引いていた。ひしひしと伝わってくる愛が重い。

それに、少しでもこの状況が視聴者にも伝わるよう 説明口調になる壮五がまた切なかった。

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