第39章 組み紐をひいたのは
「な、なんと言うか、考えた人のスパルタ具合が伝わってくる難易度だよね…!」
「龍の言う通りだ!
っつーかバーベキュー企画どこ行ったんだよ!こんなもんキコキコやってたら、火が点く前に日が暮れるぞ!」
「楽うまい!」火と日がかかってるね!
「えぇ!?俺、肉食えないの!?それ困るんだけど!気合い入れて朝飯抜いて来たんだけど!」
「環くん、結局 朝ごはん食べなかったの?駄目じゃないか!ちゃんと食べるように言っただろう!?」
「あのさ。どうでも良いけど、もう始まってるから早く動き出してくれない?」
思ったよりもグダグダの滑り出しとなってしまった。
私は監督に近寄り、小さく言う。
『あの、一旦カメラ止めて頂いても良いですか?』
楽しげにメンバーを見つめていた監督だったが、快くオーケーしてくれた。
そしてすぐに、カット!という大きな声が響く。
私はまず、楽に近付く。
『楽』
「お前な、普通はせめてライターぐらい用意し」
『この勝負、もしTRIGGERが勝ったら2人で飲みに行きましょう。何時間でも付き合います』
「……おい龍。この勝負、何が何でも勝つぞ」
「う、うん…」
(俺が言うのもなんだけど、簡単過ぎるよ楽…)
楽の目の色が変わったところで、次は環の元へと向かう。MEZZO"の側には、紡が立っていた。
「大丈夫ですよ環さん!環さんなら絶対に出来ます!」
「えー…でも俺、もう腹ペコで力出ない…」
「環くん、それは完全に自業自得だよ」
私は環の背後に歩み寄り、肩の上に手を置いた。彼の耳に唇を寄せ、彼にだけに聞こえるよう囁く。
『タマちゃん。この勝負にMEZZO"が勝ったら、デートしよう』
「……そーちゃん。この勝負、ぜってー勝つ」
「偉いよ環くん!一緒に頑張ろうね!」
「………」
(中崎さん、いま環さんに何を言ったんでしょうか…)