第39章 組み紐をひいたのは
『まぁ、そうなれるよう努力はして来ましたから…それなりには仲良し、ですかね』
「そう、ですか」
『あ…!小鳥遊さん、もしかして』
「っ、ち、違いますよ!?私はべつに、ヤキモチなどを妬いているわけでは決してなくてっ」
『大丈夫ですよ。あの方、明るくて良い方ですから。きっと貴女も仲良くなれます。それでいつか、IDOLiSH7の為にも番組を作ってくれれば良いですね。
あ、なんでしたら3人でご飯でも食べに行けるように段取りしましょうか?仲良くなれる、良いきっかけになるかもしれません』
「ぜ、全然違うんです…」うぅ
『??』
「いえ…もう、いいんです。そもそも、こんな気持ちを職場に持ち込む事自体が間違っていますし。
それに、どうせ…私なんて、ウサギくらいにしか、思われてませんし…」うぅ
『ウサギ…』
そういえば少し前、彼女の事をウサギのようだと形容した事があった。
小さくて、ふわふわしていて、ちょこちょこと動き回る姿がそっくりだと思ったから。
『ウサギって、可愛いですよね』
「え?」
『私、好きです。ウサギ』
「……っっ、」
私が目を細めた その時。少し前にいた監督の、オッケーという声が響いて来た。
どうやら、オープニングトークとルール説明が終わったらしい。ここからは本格的に企画へと入っていく。
『さぁ。行きましょう、小鳥遊さん』
「はい!」
そう答えた彼女は、すっかりいつもの元気な笑顔だった。