第39章 組み紐をひいたのは
『今から30分ほどかけて、打ち合わせをします。天には進行をやってもらうので流れをしっかり掴んでくださいね。2階でスタッフさん達が待っているので、早速行きま』
「うわっ!」
急ぎ足でコテージ2階へと向かう私の背を、追っていた天が驚きの声を上げた。
彼の視線は、1階の大広間に飾られた ある物に注がれている。
それを見た紡は、珍しく声を上げて驚いた天に言う。
「やっぱり驚きますよね…私も、初めて見た時は腰を抜かしそうになってしまって」
「…どうして、こんな山奥のコテージの中に、甲冑があるの」
『オーナーのご趣味らしいですよ』
私は、まるで時代劇に使われていそうな、赤い甲冑一式に目をやりながら説明する。
『大層な収集家らしく、隣のコテージには熊の剥製着ぐるみ。さらに隣には西洋の鎧。
統一性がなさ過ぎて、もはや面白いですよね。ふふ』
「何が面白いのか全然理解出来ない」
私の補足もそこそこに、天は苛立った様子で2階へと向かうのだった。
そして、打ち合わせが始まる。カメラマンやプロデューサー、ADなども揃っている中で、説明が行われた。
主な内容は、天が進行を担当すること。
そして、TRIGGERとMEZZO"が “ 対決方式 ” でBBQを楽しむ旨が伝えられた。
楽と龍之介のTRIGGERペア VS 環と壮五のMEZZO"ペア。この2組が、アウトドアテクニックを競うというもの。
どのような出題がなされるのか、天は渡された資料で確認をする。
そして最後に、この現場をおさえてくれたスタッフが教えてくれる。
「他のコテージには 一般のお客さんが入っていますが、勿論 ここで撮影をするという許可はオーナーにきちんと取ってあります。その旨は、オーナーからあらかじめお客さんに説明してくれているとのことですので、その辺は安心してもらって大丈夫です」