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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第5章 さぁ、何をお作りしましょうか?




カランカラン…


closed。の札を出しているにも関わらず、ドアの開閉を知らせる合図が鳴った。


『あっ、な、なんで、ここに…』


3人の、青年。


「……で、楽?そのプロデューサーを虜にしたって女の人は…どこにいるの?」

「……………」

「まさかそのお相手は、カウンターの中にいる ダンディなおじ様…だったりして?」あはは


おや。一番後ろにいる彼は…たしか八乙女楽。

彼とは、ちょっとした顔見知りだった。わざわざそれを自分から公言したりはしない。

お客様のプライベートな情報は、決して漏らしてはいけないからだ。


『ど、どうしてここにいるんですか?』

「楽の早とちりのせい」


八乙女楽ではない、ハクハツの青年がそう言うと。彼女と楽は視線を合わせる。
一度は視線が合ったものの…すぐに気まずそうに目を逸らす。

…?
2人は、もしかして仲違いでもしているのだろうか。


「ともかく、俺と天は帰るから…楽はここに残って、春人くんと少し話しをしなよ」


茶髪の青年から、ウィンクの合図を受け取った私は。すかさず楽に椅子を勧める。


「……分かったよ」


しかし楽は彼女の隣には座らず、1つ空席を設けて腰掛けた。

隣に座らないのは、やはり気まずい何かがあるのだろう。


そして、ハクハツの青年と茶髪の青年は 八乙女楽だけを残してこの店から出て行ったのだった。



「どうぞ」

「!」


私は楽の前に、一杯のカクテルを差し出す。


「…俺まだ注文してないぜ」

「一杯目は、私からサービスさせて下さい。どうぞ モスコミュールでございます」


聞いた途端、楽は顔をしかめる。


「…マスター俺は、そんな女が飲むみたいなカクテルは」

「カクテルには、酒言葉。という物がございます。
ちなみにモスコミュールの酒言葉は…

“ 喧嘩したら、その日のうちに仲直りを ” 」


彼は、私の言葉を聞いた瞬間。どうやら何かを諦めたように、小さな溜息をついた。


「…随分とおせっかいなカクテルもあったもんだな」


悪態をつきながらも、彼はエリの隣の席へと移動したのだった。

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