第38章 待っててくれますか?
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「ほら見て、また来てる。あのカッコ良い人!」
「ほんとだ。あの制服…見た事ある」
「私この間、あそこの文化祭行ったよ!あの人ね、文化祭のステージに立っててギター弾いてた!もう超イケてたよぉ」
「いいなぁ!私も見たかったー」
この場所。校舎三階の窓から、門の前で待つ万理の姿を見るのが好きだった。
そうしていると、窓から顔を出す女生徒達の黄色い声が聞こえる事も少なくない。
彼は、他の誰でもない 私を待ってくれているのだ。私に会う為に、迎えに来てくれているのだ。
そんな姿を見ると、実感が持てた。私が、万理の特別になったこと。
『おまたせ』
「また勝手に迎えに来てごめん、迷惑…じゃなかった?」
『ううん。えっと…全然。嬉しいよ』
私がそう言うだけで彼は、この世で一番の幸せ者だ!と言わんばかりの笑顔を見せてくれるのだった。
私達が並んで歩き出すと、周りの女の子達は より万理に注目した。彼は、自分が視線を集めていると気付いているのだろうか?
そんな時。1人の女生徒が私に挨拶をする。
「中崎さん、さよなら」
『…さようなら』
「えっと…隣の人って、中崎さんの彼氏?」
『うん。……だよね?』
「俺に確認しないでくれよ!わざわざ確認しなくても彼氏だろ。
君は、エリのお友達かな?はじめまして。大神万理です」
「はっ、はじめましてっ!はい!友達です!」
「そっか。いつもエリと仲良くしてくれてありがとう。これからも、彼女の事をよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ!!」
『…じゃあまた明日ね。行こう万理』
「うん。さようなら」
「さ、さようなら…」ぽーー…