第38章 待っててくれますか?
群れるから、こんなふうに弱い人間になってしまうのだ。
友達なんて自分には必要ない。そう思っていた私に、再度現れた彼はこう言ったのだ。
“ この子の友達だけど、何か問題ある? ”
『それが、私と彼との出会いだった…って、なんで泣いてるの百!』
「ぅ…、だって…エリちゃんが、友達なんていらないとか、言うから。オレ悲しいよ!」
『む、昔の話でしょ!今はそんな馬鹿な事考えてないよ?』
「良かったよ、…その人が、その時のエリちゃんと出会ってくれて。独りぼっちのエリちゃんを、助けてくれて ありがとうって、言いたいよ。オレ」
ぐしぐしと泣きながら百は、会った事もない万理に、ありがとうと言った。
もしも昔、百のような子が同じ学校にいたならば、私達はきっと友達になれただろう。そうなっていたなら、果たして 今の私にどのような変化をもたらしていただろうか…
「それで?その後は?どうなったの?」
『友達に、なったよ。
そこからは毎日…楽しかったなぁ。たくさん会って、たくさん話した。
他人の趣味趣向を知っていく事が、こんなにも楽しいんだって思い出したの。
彼はバンドマンだったから、そっち系の話をする事が多かったかな』
「え!バンドマンだったの!?それってユキと一緒だね!」
『え!千ってバンドマンだったの!?最初からアイドルなんだとばっかり…。あ、そういえばギター上手いもんね』
「そうそう!いやぁ、やっぱりバンドマンって、イケメンが多いんだね!」
『だねー』
のほほんと話す私達。実はかなりのニアミス状態だという事には、どちらも気が付いていない。