第37章 どうか俺の
「…俺も、もうエリと友達でいるのは無理だ」
『!!
今まで、無理して友達をやってくれてたんだね。私の事、ずっと嫌いだったの?』
「嫌いなわけ、ないだろう?」
『でも、今 万理も無理って』
「友達でいるのは、って。言ったじゃないか」
—— 君を連れて来た春。
まさか音楽以外で、自分をこんなにも魅了する物があるなんて、知らなかった。
髪に花弁を付けて現れた。桜の妖精と出会ってしまったのかと思うほど、エリが綺麗だったのを よく覚えている。
—— 君を想い続けた夏。
自分の幸せより、相手の幸せを優先したい。なんて、こんな気持ちが自分の中に生まれた事に驚いた。
自分の心を制御出来ない もどかしい気持ちも、幸せで心が溶けそうになる感覚も。教えてくれたのは全部 エリだ。
そんな、俺のこの全ての想いが。今、溢れ出す。
友達でいられる権利を捨ててでも、今の想いを聞いて欲しい。
君の為に、なくしてしまおうと思っていた この気持ち。やっぱりどうしても、殺す事が出来なかった。
ごめん。勝手な俺で、本当にごめん。
もっともっと、友達なんかよりも、もっとエリに近付きたいって。想ってしまう俺を、許して。
「好きだよ。どうか俺の、恋人になってくれませんか」