第37章 どうか俺の
「っ、いない…どこだ、」
「おーーい万理〜」
手を振って俺を呼ぶのは、同級生だ。
エリと屋台巡りをしていた際に、嫌な絡み方をしてきた その人である。
「ああ ごめん、今ちょっと急いでて」
「なんだよなんだよ、もしかして彼女と喧嘩でもしたのか?」
「まぁ、そんなところ。じゃあ悪いな。もう行くから」
「俺、見たぞ」
「え!」
彼は、校舎を指差して言った。
「学校ん中、入って行ったんだよ。せっかくキャンプファイアーがあんのに、なんで見ないのかなぁって不思議に思っ…。お、おい万理!?」
「ありがとう!今度なにか奢る」
俺は、彼の言葉を最後まで聞く事なく駆け出していた。
背中から聞こえた、じゃあ肉饅が良いー。という声には、手を上げて答えた。
彼が指差した場所から、校舎内に入る。しかし、この数多ある教室を全て探すのか?ひとつひとつ見て回るとなると、かなりの時間を要してしまう。
何か、良い方法はないだろうか。
「万理?」
「!!
先輩…」
現れたのは、さきほど一緒のステージに立った3人だった。やっかいな時に、やっかいな人達と居合わせてしまったな。即座にそう思ってしまった。
今は彼らと話している時間が惜しい。しかし、こちらの気持ちなどお構い無しに彼らは口を開いた。
「さっきは、悪かったな万理」
「俺も…」
「ごめんな、ほんと」
「……え??」
突然の謝罪に、思わず言葉を失ってしまった。そんな俺に、3人は続ける。
「俺達さ、本当は薄々気付いてたんだ。自分達のせいで、ステージが上手く行かなかったって」
「それを、お前が立て直そうとしてくれてた事も」
「でも…むしゃくしゃしちゃって、お前1人を悪者にする事で 自分達が楽になろうとしたんだと思う。
本当にごめん!」