第37章 どうか俺の
翌日。
約束通り このファミレスで今、3人は顔を突き合わせている。
4人席のテーブルにて、エリと友達は隣に座る。そして俺は彼女の前の席に着いた。
奇妙な空気感が場を包んでいた。どうしてか。それは、彼女を除く俺達2人が 叫び出してしまいたい心理状況だからだ。
そして、その胸中はきっと同じ…
「「………」」
(いや、友達って男かよ…!!)
『な、なんか、自分の友達と友達が会ってるのって、変な感じだね』照
「そ、そうか…」
(いや、なに照れてるんだ!どうして、このおかしな空気に気付かない!)
『あ。私ドリンクバーで何か入れてくるよ。万理はいつもので良い?』
「うん。ありがとう」
彼女の隣に座る友達は、ジンジャーエールを頼む。それを聞くと、エリはすぐにここを離れた。
気まずい沈黙に耐えられず、俺は先に口を開く。
「えっと、どうも はじめまして。俺は」
「大神万理さん。ですよね。あはは…エリから、よく名前は聞いているので」
初めて、他人の口から彼女の名前が出た。親しげに、呼び捨てで。
この時に思い知ったのだが、俺はどうやら なかなかに独占欲の強いタイプらしい。
たったそれだけの事で、心にストレスが積もるのを感じたのだから。
エリと同じで、アイドルを目指しているらしい彼は、やはり整った造形の顔をしている。
もしかすると、エリはこういうタイプの顔が好みなのだろうか?そんな事を勝手に想像しては、また心にストレスが積もる。
「やっぱり…大神さんと彼女は、仲が良いんですね」
「まぁ、そうだと俺は思ってますけど」
「そうです…よね」
たったこれだけの会話で、気付きたくもない事実に気が付いてしまう。
彼は、エリが好きだ。