第36章 どうか俺と
「万、少し見ない間に 随分激しい人間になったな…」
「誰のせいだ誰の!!」
椅子が倒れる程度の被害で済んで良かった。もし食器を持っていたら、落としていた自信がある。それくらいには、今の発言に衝撃を受けた。
「百くんはともかく、千は本気なのか?また昔の病気が再発したとかいうオチじゃないだろうな?」
「失礼だな…。僕も一応、少しは成長したつもりなんだけど。
だから、もう無闇に 人を傷付けたりしないよ」
「そうか…」
どうやら千は、本気でその人を想っているらしい。そして百も、彼の性格から言って 中途半端な気持ちではないだろう。
と、いう事は だ。
2人は今、同じ人物に恋慕している。
「本気で誘ってるつもりなんだけどね…振り向いてくれる気配すらない。のらりくらりと、いつも躱されちゃってるのさ」
「へぇ…。お前にアプローチされて、靡かない女性がいるんだな」
俺はあまりの衝撃展開に、完全に食事をストップしてしまったが。千は再び手を動かしていた。
静かに口へ物を運ぶ彼に、気付いたら笑いかけていた。
「千が、本気で人を好きになってくれて 俺は嬉しいよ」
「…モモとその人を取り合う事になっても?」
「そこは問題ないだろ。まさに、青春の1ページって奴じゃないか。
それに…千が選ばれても、百くんが選ばれても、仮にどっちも選ばれなくても。そんな事で壊れてしまうような、やわな絆で結ばれてる訳じゃないだろう?Re:valeは」
「!!
ふふ、そうね」