第34章 いや、はい。もう何でもいいです
「いやいや、ちげーから。俺流されねーかんな。
なんでヤマさんが待ち合わせ場所知ってんのか、まだ教えてもらってねんだけど」
「そりゃあれだ。お前さんの携帯の設定のせいだな」
「は?設定?」
「携帯のトップ画に、新着ラビチャの文面が表示される設定になってたんだよ」
『あちゃー…』
「非表示にしとかないと、どこの誰からどんな内容のラビチャが送られて来たのか 筒抜けだぞータマ。気を付けような?」
「勝手に見といて偉そうに言うな!!」
いやしかし、これは冗談抜きで危ない案件だ。見られたのが大和だったから良かったようなものの、他のメンバーならかなり危うかった。
「くそぉ…、今すぐ設定変えっから、ちょい待って…」
「ありゃ、変えちまうのか。じゃあ俺は 今度からどうやってタマのラビチャ見たらいいんだ?」
「だから見んなっての!!」
環は悔しそうな顔で、携帯をいじり始めた。
早速 設定を変えているようなので、ひとまず安心だろうか。
「タマの設定変更が終わったら、飯食いに行こうぜ。腹減ったし、なによりここ寒いだろ?お兄さんは温かいもんが食いたいなぁ」
「ヤマさん着いて来る気満々じゃん!!」
環は被っていたキャップを荒々しく脱いで、両手でぐしゃっと握り潰した。
「え、ここまで来て追い返すつもりか?そりゃねえだろタマちゃーん」
「今すぐ帰ってくださーい」
「容赦ねえなぁほんと」
『あはは。まぁまぁタマちゃん。デートは今度やり直せばいいでしょ?今日はこのまま3人でご飯食べに行こう?』
「まぁ、いいけど…」
若干、口を尖らせて不服そうにする環だったが。私と大和の2人から 王様プリンを贈呈する約束した後は、やや気分が上向きに変わったようだ。