第33章 とりあえず土下座から行かせていただきまーす!!
もし小鳥遊事務所が今回の件を公表すれば、日向の名を出さないわけにはいかないだろう。
そうなれば、彼は社会的に終わってしまう。心を入れ替えて、再度やり直そうとする人間に対し、世間はそう甘くない。
『ありがとうございます。寛大なお心遣いに、感謝します』
「いや。こちらにも非は大きくあるからね。
大切な楽曲を、ろくに所在を調べもせず使用してしまったんだ。君には、本当に申し訳ない事をした」
「SORRY…」
「ごめんな、本当に…」
「私からも、謝罪させて下さい。誠に、申し訳ございませんでした!」
改めて、彼らは私に頭を下げた。
謙遜でも何でもなく、私は謝罪を受けたいという気持ちは一切なかった。
そう伝えると、ようやく全員が頭を上げてくれた。
「じゃあ、これからの話をしようか。
この楽曲は、君の物だ。今の率直な気持ちを聞かせて欲しい。
この歌を、どうしたいと思っているんだい?」
『これはもう、IDOLiSH7の物です。TRIGGERでも、まして私の物でもない。
どうかこれからも、歌い続けてあげて下さい』
歌い続けてあげて。この言葉に対し、音晴は私に問う。
「誰の為に?」
『この曲の為に、です』
三月が、眉間に皺を寄せて私を見る。
「い、いいのか?オレ達、あの曲を歌い続けても、いいのか?」
『はい。ぜひ、そうしてあげて下さい。
歌われない歌は 可哀想だから』