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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第33章 とりあえず土下座から行かせていただきまーす!!




「…ふむ、なるほど。そんな事があったとは。
とりあえず…土下座から始めたらいいかな」

『小鳥遊プロでは土下座スタイルが通例なのですか!?』


おもむろに立ち上がった社長を、なんとかもう1度座らせる。
それから、今度は自分が立ち上がる。そして、全員に向かって大きく頭を下げた。

し ん と静まり返った中、私は口を開いた。


『私が 今日ここにお邪魔したのも、社長にご足労いただいたのも。全ては…謝罪をさせてもらう為です。

この度は、八乙女事務所の内輪揉めに御社を巻き込んでしまい、大変申し訳ございませんでした。謝って済む問題で無いことは、重々承知です。

ですが許していただけるなら、土下座でも何でも喜んで致します。後日、本人を必ず連れて来て直接皆さんに謝罪もさせます。
もしも慰謝料等をお望みの場合は、1度持ち帰って社長と検討致します。

ですからどうか…今回、うちの日向アキヒトが取ってしまった愚行を世間に公表する事は ご容赦願いたいんです。
無理は承知です!ですが どうか…。どうか、聞き入れてもらえませんでしょうか』

「そんな…!中崎さんは悪くないですよ!」

「そ、そうだぜ!頼むから頭上げてくれよ!」

「元はと言えば、ワタシが言葉足らずだったのです。責められるべきは、ワタシの方ですよ。ミスター春人」


3人は、それぞれの思いを口にした。それから、自らの代表である音晴に視線を集める。

未だ頭を深く下げ続ける私に、彼はおっとりとした口調で話し始める。


「君は…自分を陥れようとした人間の為に、本気で頭を下げられる 優しい子だ。
安心しなさい。日向君の事は、ここだけの話にすると、約束するよ」


そして彼は、もう頭を上げるように言ってくれたのだが。私はなかなかそう出来なかった。
なぜなら、今にも涙が溢れてしまいそうだったからである。

どうしてこうも泣きそうになってしまったのか。
それは、社長の声が あまりにも 優しかったから。

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