第33章 とりあえず土下座から行かせていただきまーす!!
——— 回想終了 ———
さぁぁ、と。三月の顔からはさらに血の気が引いた。そして椅子から飛び上がって、そのまま地面に正座で着地する。
「とりあえず土下座から行かせていただきまーす!!」
『!?いや、落ち着いて下さい!そんな事をされても困ります!』
土下座から行く。という事は、土下座の後にも何か待っているのだろうか。それが何なのか知りたいという好奇心は疼いたが、私はそもそも謝罪など求めていない。
「三月さんっ、やめて下さい!土下座ならいくらでも私が代わりにっ」
『ちょっ、代わられても困ります!』
「FANTASTIC!JAPANESE ドゲザ!!ワタシもいつかはチャレンジしたいと思っていました!」
『楽しまれても困るんですよ!!』
どうやら、彼らは勘違いをしているらしい。私は、謝罪を受ける為にここにいるのではない。
「と、とにかくこれは、私がどうにか出来る範疇を越えていますので、社長…社長を!」
『そうですね。もし可能なら、そうして頂けると助かります』
震える手で、携帯をタップする紡。不安な面持ちで、立ち尽くすナギと三月。
そんな中、小鳥遊プロの社長。小鳥遊 音晴は姿を現した。
彼とはいつか相対する機会があるかもしれないと思ってはいたが。まさかこんな形でそれが叶うとは思わなかった。
些か残念ではある。
『はじめまして。八乙女プロダクションでTRIGGERのプロデューサーを務めております、中崎春人と申します』
「やぁ。話は紡からよく聞いているよ。
小鳥遊プロダクションの代表、小鳥遊 音晴です。どうぞよろしく」
名刺を交換して、私達は改めて ソファに腰を下ろした。