第33章 とりあえず土下座から行かせていただきまーす!!
どうやら楽は、もう全てを知っているらしい。
日向本人が、TRIGGERのリーダーである楽に謝罪をしたのだそうだ。
TRIGGERも彼のせいで迷惑を被った。2週間という短時間で新曲を覚え、きついレッスンを強いられたのだ。
それにしても、黙っていれば日向のせいだとは分からなかっただろうに。それでも彼は、あえて苦しい道を選んだ。
その姿勢からは、たしかに本気の反省が見て取れる。
「あんたが春人の曲を盗んだ犯人だって聞いた時は、驚いたぜ」
「…改めて、謝罪させて欲しい」
「あんまダサい事してんなよ。男だろ」
「!!」ビク
彼は、自らの股間に手をやる。そして前屈みになってジリジリと後ずさった。
「お、男だから。確かめなくても、間違いなく男だからっ」掴まないで
「??」
『……』
そんなに守らなくても、楽は急に人の股間を鷲掴んだりしないと思う。
「いや…
本当に、すまなかった。君達にも、迷惑をかけた」
「春人には、謝ったんだろ」
「それは、勿論!」
「じゃあもう、俺から言う事はない。
ただ、もしまた同じ様な真似したら その時は…
俺があんたをぶん殴ってやるからな」
楽はそれだけ言うと、くるりと背を向けて 部屋を出て行った。
それを見て日向は、緊張が緩和したのか 短い溜息を吐いた。
『良かったですね。リーダーからのお許しが出て』
「目で殺されるかと思った…」
『無事で何よりです。
さて。彼らへの謝罪も済んだところで…私はそろそろ “ 後処理 ” に動きましょうかね』