第33章 とりあえず土下座から行かせていただきまーす!!
TRIGGERの面々と別れた後、私は姉鷺と顔を突き合わせていた。
「アナタが部屋を空けた、あの日 あの時間。社内に外部の人間は入っていなかったわ。受付にも確認したから間違いない」
『と いう事は、外部の人間が関わっているという線は消しても良さそうですね。
それにしても、すみません。姉鷺さんもお忙しいのに、こんな面倒事に巻き込んでしまって』
ここからは、姉鷺と2人で犯人を絞り込んでいく。
彼は、いいのよ!と威勢良く返事をしてくれた。
「身内の人間が、他のアイドルに曲を横流ししたかも。なんて…ほんとゾっとしないもの。アタシも協力させて頂戴!
と、言っても…もうほとんど答えは出てるんだけどね…」
『私が挙げた候補の中に、やっぱり いましたか』
私はあらかじめ、思い当たる人物の名を告げていた。私の出現のせいで、不利益を被ったであろう人間の名前だ。
「日向アキヒト。アナタが来る前、TRIGGERに楽曲を提供していた作曲家よ」
『はい』
「例の日に、スケジュール的に犯行が可能だったのは彼だけだった。それに、貴女の仕事部屋から走り去る姿が、他のスタッフに目撃されているわ」
驚きはなかった。私の中で、彼が大本命だったから。
野心家でプライドの高い彼は、私の失脚を狙って暗躍した。そういう事なのだろう。
『こんなに簡単に見つかるとは思いませんでした。ありがとうございます』
「アタシにかかればこんなものよ!」ふふん
『ここからは、私が本人と話をつけます。なるべく大事にはしたくないので、2人きりで詳細を聞き』
「もう本人呼んであるから」
「っ……」
『仕事が早い!!』
姉鷺は “ 私を除け者にしようったて そうはいかないわよ! ” とでも言いたげだ。
扉からは、肩を落とし俯いた日向が現れた。