第33章 とりあえず土下座から行かせていただきまーす!!
『その件ですが、貴方達は手を引いて貰えませんか』
楽と龍之介は、眉根を寄せた。
そんな表情を見て、2人の視線から顔を背ける。
『今回は、私の危機管理の無さが招いた、私の失態です』
「仕事部屋を無人にしたからか?パソコンを付けっぱなしにしてたからか?そんなもんは、自分の会社なんだから当たりま」
「キミ、心当たりがあるんじゃない?犯人に」
天は、ズバリ私が言い辛いと感じていた内容を言い当てた。言葉を遮られた楽も、驚いた瞳で天を見た。
「そうなのか?春人くん」
『…はい。ですが、貴方達にその名前を言うつもりはありません』
「ボクらも知ってる人物、か」
『私は、貴方達が思っているよりも、多くの人間から恨みを買っている。そういう話ですよ』
「どういう話だよ。分かるように説明しろって」
イラだつ楽に、龍之介がゆっくりと言葉を紡いだ。
「そうか…。春人くんは、作曲、振り付け、各レッスン、演出にスケジュール管理。それを一手に担ってる。と、いう事は…」
『そうです。今までTRIGGERに携わる仕事をしていた人間は、私に奪われたわけです。自分達の、役割を』
勿論、全員ではない。しかし、他のアイドル担当になった者は少なくなかった。
八乙女事務所における、一番の花形は やはりTRIGGER。その担当を外されるという事は、降格を意味するのだ。
「したがって、今回の件に関与している人間は…」
「春人が俺達のプロデューサーになる前、TRIGGERに深く関わっていた人間か…!」
「そうなると、かなり絞れるね」
『…推理するのは勝手ですけど、私は言いませんからね。絶対に』