第33章 とりあえず土下座から行かせていただきまーす!!
——— 現在 ———
「TRIGGERの、傍にいたい…!」
楽は、渾身の演技で言ってのける。
「頑張るから、いくらでもまだ、頑張れるから…!」
天も、楽に続いて満点の演技だ。
「えっと…
だから、お願いだから…私を、捨てないで…」
『龍だけは私の味方だと思っていましたよ』
「これはっ、違うんだよ春人くん!」
龍之介が、天と楽の悪ノリに付き合わされているのは 見れば分かる。
とにかく、彼らは私の過去の醜態をモノマネしていた。これらの言葉は私が実際に口にした言葉。後悔の念に駆られた。
「はは!そう膨れるなよ春人。あんたのクビが飛ばないで済んだのは、俺が親父と取り引きしてたからだぜ?」
『そこに関しては、感謝していますよ』
そう。私は、八乙女事務所に継続して所属出来る事と相成ったのだ。まだTRIGGER専属のプロデューサーとして 彼らの傍にいられる。
これも、楽が社長に口聞きをしてくれたから。
音楽大賞、最優秀賞を獲得した暁には、私のクビは取り消し。そう約束を取り付けてくれていたのだ。
「良かったね。これからもボク達の傍にいられるんだってさ」
『う……。まぁ、はい』
天は、その美しい瞳を歪めて笑った。
そんな上機嫌な天の隣で、楽が表情を引き締めて切り出した。
「無事に賞も獲れた。そしたら、次にやる事は決まってるだろ」
『……』
「どうして、春人くんの作った曲が、IDOLiSH7に流れちゃったのか。原因を突き止めなくちゃね」