第32章 TRIGGERだから
「春人。お前はな、完璧を求め過ぎてんだ」
『かも、しれませんね』
「俺もそう思うな。
なぁ春人くん。今の素直な気持ちを、俺達に聞かせてくれないか?
強い姿でなくていいんだ。飾る必要もない。ただの、中崎春人の本当の心。本当の姿が見たい」
『今の私の…本当の姿』
顎に手を当ててしばし考える。その様子を3人は静かに見守った。
そんな中、私はゆっくりと腰を上げる。そして、床に両手足を投げ出して大の字で寝転んだ。
3人は目を丸くして事の成り行きを見守り続ける。
『あーー…マジで音が一音も降りて来ない。今まではなーんも考えなくても曲なんか勝手に出来たのになぁ。
っていうか、社長からはもうクビ宣言食らったようなもんだし。これからどうしよ。これからもTRIGGERの傍にいたいなー。でも曲が出来ないなぁ。ほんと、参っちゃったなぁ…。
……とまぁ、こんな感じです』
「全身で表現して来たな!!」
「凄いよ!こんな春人くんが見られる日が来るなんて…!なんだか俺、感動しちゃった!」
「〜〜っ、ふ、…ふふっ、」
華麗に突っ込む楽。どこかズレている龍之介。そして笑いを堪える天を横目に、私はさらに付け加える。
『あと、今回の一連の流れの中で、思ったことを素直に言葉にしても良いなら…
私がもし女だったなら、龍 一択』ビシッ
「たらればの話だってのに、なんとなくムカつくな」告ってもないのにフラれたみたいで
「え…どうしよう。嬉しい」きゅーん
「龍。普通にトキめかないで」