第31章 こっちを見ろ!!
「こっちを見ろ!!」
『っ、』
はっとして、思わず顔を上げる。
「お、おい、龍…?」
「いきなり大声出さないでよ。びっくりするでしょ」
つい、龍之介と視線を合わせてしまった。
驚く私や、楽と天をも置き去りにして、彼は私の両肩をしっかりと捕まえて続ける。
「どうして…君はいつも、全部1人で解決しようとしてしまうんだ!どうして、俺達に何も言ってくれないんだ!
最近の春人くんを見ていたら、少しは変わってくれたと思っていたのに」
『龍…怒って、いるんですか』
「怒ってる。怒ってるよ。
頼むから、1人で無理しないでくれ。頼むから、自分をそれ以上追い込むのはやめてくれ!
君は言ってくれたじゃないか。俺達を、仲間だと思ってるって。
だからどうか、仲間に頼る事を覚えてくれ…!」
彼が、こんなに声を荒げるところは 初めて見た。
彼の、瞳がこんなにも激昂しているのも。
龍之介の 私を想う真剣な気持ちが、雪崩のように流れ込んで来て。なんとか堰き止めていた気持ちが溢れ出てしまう。
彼のシャツをぎゅっと両手で掴んで。しっかりと顔を上げて。その熱い瞳を覗き込んで、言葉を紡ぐ。
『私は…曲を作らないと!
曲が作れない私なんて、私じゃない!作り続けないと、私は…
貴方達の傍に居られない!』
大声を上げる私を見て、龍之介は目を大きく見開いた。
『TRIGGERの、傍にいたい…!その為には、私は曲を、作らないと!
頑張るから、いくらでもまだ、頑張れるから…!
だから、お願いだから…私を、捨てないで…』
「…君は……馬鹿だな」
彼は私の背中に手を回して、その大きな胸に小さな私を閉じ込めた。