第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
「じゃあね、2人とも!また近いうちにー!」
百は、加藤と佐藤の乗ったタクシーに 両手をぶんぶんと振って見送った。
すっかり車が見えなくなると、ピカピカの笑顔を私に向ける。
楽しかったね。そう言っている途中だったが、私は彼の両頬を片手で鷲掴んだ。
唇がむにゅっと潰れた彼は、そのままの状態でモニョモニョ喋る。
「い、いやん、ほんなこころで、らいたんなんらね♡」
(い、いやん、こんな所で、大胆なんだね♡)
『言ってる場合ですか!もう滅茶苦茶にびっくりしたんですからね。あぁもう まだ体の震えが止まりませんよ。まさかこんな短時間の美味しい焼肉会で、ポカリンスエットのCMの仕事ゲットしちゃったじゃないですか!死ぬほど嬉しいじゃないですか、どうしてくれるんですか!』
「ほちついへ!」
(落ち着いて!)
私は大きく深呼吸してから、ようやく百の頬を解放した。
「いやあのね?たしかにあの2人は特殊かもしれないけど、オレからしたら本当にフツーの友達なんだって!」
『2.3年で100億稼ぐデイトレーダーと、天下の凰塚製薬の跡取り息子なんていう異常な肩書き持ってる人間捕まえて、普通の友達!?
そんな事を言えてしまう貴方の肩書きは一体何ですか…』
「え?天下のアイドル、Re:valeの片割れやってます!モモちゃんでぇすっ☆」
『……そうでしたね』
しかし、私はもう金輪際信じない。彼の友達はやはり、ただの友達などではなかった。特に今回は、さすがにパンチが効き過ぎだ。
才能を持った者には、やはり特殊な人間が集まってくるのだろうか?