第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
事態はまだまだひっくり返る。
加藤が、佐藤を見て言ったのだ。
「俺なんか全然すごかねぇぞ。親が社長ってだけなんだからな。それよか、コイツだよコイツ」
「え、僕?至って普通だと思うけど」
「何言ってんだ。お前が右手人差し指を、こう…動かすだけで。億単位の金が動くんだぜ。普通なわけあるか」
加藤は、マウスをダブルクリックする動きを私に見せる。
私は衝撃のあまり、全身が凍り付いてしまう。しかし それでもなんとか、首をギギギ…と動かして、顔を百の方に向ける。
すると、百はニパ。と笑って告げる。
「サトちゃんはね、元 証券会社の…えっと、ディーラー?だったんだよ!あぁでも今は独立してるんだっけ?
で、その時の経験を活かして 会社設立の為にお金貯めてるんだって!」
「いつかは起業をって思ってるんだけどね。でもやっぱり株式展開するまでに、資本金あと100は欲しいから…もう2.3年はかかっちゃうかな」
『……ひゃく…とは、』
「え?億」
億…億!!100億!!
私は、加藤と佐藤を交互に見つめる。背中や頭だけでなく、身体中から汗がダラダラと吹き出しているのを感じる。
「もし無事に自分の会社が設立した暁には、僕も君と仕事がしたいな。
TRIGGER、予約しちゃってもいいかな?」
私は、椅子から ビョン!と跳ねるように離れると、そのまま地面にひれ伏した。
『こ、こ、この度は、加藤様と佐藤様におかれましては、この不肖の極みたる私、大変な粗相を失礼つかりまして。さらには多大なるご迷惑と、暴言と、後は、えっと後は』
「ちょ、ちょっと春人ちゃん!ガチ土下座やめーー!」
「ぎゃはは!ONか!これがお前のONか!日本語滅茶苦茶じゃん!おもしれぇー!」
「切って!今すぐスイッチをOFFに!それから お願いだからすぐ立って!」