第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
そして、デザートのレモンシャーベットまで食べ終えた私達だったが。お腹が満たされ過ぎた為、しばらく動く気になれなかった。
『ふぅ…しばらく動けません。でも、幸せです。
私、今日の肉の味は 生涯忘れませんから。ありがとうございました』
「ちょっと春人ちゃん!その言い方じゃぁ、なんかもうすぐ死ぬみたいじゃんか!」
『百さん…私が死んだら、この身と一緒に ここ店の肉を入れて火葬して下さい。お願いします』
「お安い御用だよ!!オレが必ず、牛タンと上ロースを棺桶の中に入れてあげるからねぇ!」
「そ、それじゃ葬儀場が良い匂いで包まれちゃうよ」
「あっはは!あんたら、本当に面白いな!良いコンビじゃねえか」
百の相方は、千と相場が決まっているというのに。加藤はゲラゲラと笑った。
そしてその言葉を聞いた百は、嬉しそうに歯を見せた。
その直後だ。
衝撃の展開を見せるのは。
「なんか ここまで面白いと、あんたと一緒に仕事したくなってくるな」
「出た出たー!カトちゃん、面白い人見つけたら絶対に仕事したがるよね!」
「だって、つまらん奴と仕事しても楽しくねぇだろ」
『??あの、仕事 とは?』
「TRIGGER、今度うちのCM出てみねぇ?そろそろアンバサ切り替えの時期なんだよな」
100%オフっていた私の頭に、突如として仕事ワードが放り込まれる。
CM?アンバサダー? 加藤は何を言っているのだろうか。
なかなか思考が追いつかない私に、佐藤が にこやかな笑顔で教えてくれる。
「えっと、加藤は 凰塚製薬の宣伝部部長なんだ」
『…オウ、ツカ セイヤク の?』
「今は親父が社長やってるけどな。数年間 色んな部署で下積みしてから ぜってー俺がその椅子ぶんどってやる」
たしかに、凰塚製薬の創業者とその血縁者の名は加藤だが。加藤なんて名前はありふれた物だし。いや、でも、まさか…
『……と、いう事は、貴方は凰塚製薬の、社長 息子…』
まぁそうなるな。
と、加藤は口角を上げた。