第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
2人は、まるで聞いてはいけない事を聞いてしまったかのように、私の名前の話題には触れなくなった。
「そういえば、あんたも綺麗な顔してるよな。モモからは、友達だって事しか聞いてねんだけど。もしかしてお前もアイドルか何かか?」
「あーカトちゃん!仕事の話はしないって約束だったのにぃ」ぶー
「ふふ。百、もう僕達くらいの歳になると、仕事の話避けるのは難しいと思うよ」
『私もそう思いますよ。別に隠す必要はないので、話します。
私は、TRIGGERのプロデューサーをしているので、今は八乙女事務所に勤めてます。
カルビ焼いていいです?』
TRIGGERの名前は知っている様子の2人。しかし、さすがはRe:valeと友達をやっているだけあって、私がTRIGGERと近しい人間だと聞いても驚きはしなかった。
「なるほど。そういう繋がりで、百と友達になったんだね」
『友達…というか。他事務所のアイドルなので、その表現は少し違和感があるんですけどね』
「もーー、春人ちゃんったら相変わらずドライなんだからー」
「モモが友達だっつってんだから、友達でいいだろ」
「そうだね。ところで、プロデューサーってどんな仕事してるの?」
『色々です。名前の如く、プロデュースに始まって…マネージメント、ライブの演出、広報に仕事の獲得、車の運転手から付き人まで。とにかく色々ですね。カルビ焼けましたよ』
本当はそこに、作詞作曲とダンスの振り付け も加えたいところだが。世間には “ H ” としか公表していないので、明言は控えた。
私は、焼き上がったばかりのカルビを口に放り込んだ。
「おぉ。すげぇな」
「そうそう!春人ちゃんは凄いんだよ!敏腕プロデューサーなんだから!」
『カルビの油をプールに溜めて、そこで泳ぎたい…』
「相変わらず、食レポのセンスは皆無なんだね」