第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
次は、ロースを焼いていく。タレで網が汚れる前に、先に塩味の肉を焼いてしまう作戦だ。
すると、私の隣に座る百が言う。
「っていうか春人ちゃん!焼くばっかで、あんま食べれてないじゃんか!
そんな忙しい君の為に、モモちゃんがお肉を食べさせてしんぜよう!はい、あーーん」
『ありがとうございます』
私は素直に口を開ける。すると、すぐさま口の中にロースが運ばれて来た。我ながら、完璧な焼き具合である。
「天下のRe:valeに、あーんして貰えるなんて 幸せ者だね」
『はいそうですね』真剣
「ねぇ、春人ちゃん?本当にそれ思ってる?君の瞳には網の上の肉しか映ってないけど!」
「っつーか、さっきから思ってたんだけどよ。
モモ最初、春人のことエリって、呼んでなかったか?」
「ギクっ」
「僕も、聞いた気がするな。女の子の名前みたいだったけど…」
百は2人からの追求を受け、助けを求める視線を私に送っている。しかし私は今、肉との真剣勝負中だ。七輪はガスより、焼くのが難しいのである!
『あーまぁたしかにそう呼ぶ人もいますね』真剣
「ちょっと春人ちゃーん!?肉に気が行き過ぎてやしない!?」返しが適当過ぎ!
というか別に、この2人には私が女である事がバレたところで何の問題もないのだ。
今後、一緒に仕事をする訳でもあるまいし。
百は懸命に隠そうとしてくれているようだが。私からすれば、別にどっちでも良い。バレても バレなくても。
『エリは、春人になる前の私の名です。でも別に、エリを捨てた訳ではありません。だから私は、エリでも春人でもある。というわけです。だから、春人でもエリでも 好きな方で呼んで下さい』
「???お、おう」
「???」
「ほ、ほらほらカトちゃんもサトちゃんもグラス空いてるよ!?次は何飲もっかー!ハイボール?酎ハイ!?」
(エリちゃん、誤魔化し方が雑っ)