第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
3人は久々の再会もそこそこに、一斉に私の方へと向き直った。そして、金髪の彼がポケットに手を入れた。
その動きを見れば 名刺交換だと分かったので、私も胸ポケットにある名刺入れへと手を伸ばす。
すると眼鏡の彼も、私達に倣う。
胸がドキドキした。ついに彼らの職業と肩書きのお披露目だ。
しかし…そんな私達の間に、両手を広げた百が割り込んで来た。
「ちょっとストーップ!!なに勝手に名刺交換なんて野暮な事始めてるわけ!」
「は?普通、初対面なんだから自己紹介するだろうが」
『その通りですよ』まじで邪魔しないで
「百は名刺交換、不満なの?」
「不満も不満!大不満だよー!だって皆んな今日は、仕事で集まったわけじゃないでしょう!?オレは身内でワイワイやりたかっただけなの!」
名刺交換を阻止した百。私達を強引に椅子に移動させ、こう続けた。
「自己紹介なら、オレがしてあげるからさ!ほーら座った座ったー。
んじゃいくよ?まずは…この金髪君が、加藤君こと カトちゃん!
で、こっちの眼鏡君が、佐藤君ことサトちゃんだよっ」
百は、私に向かってそう告げた。
加藤に佐藤。カトちゃんにサトちゃん。覚えやすいのか覚えにくいのか。よくもまぁ似た名前の2人が集まったものだな。なんて呑気に考えている私。
名前もまぁ大切ではあるが、早く2人の御職業を教えて頂きたいのだが…。
と、次の瞬間。百の口から 衝撃の真実が飛び出した。
「2人とも、オレの中学の時の友達でーす!」
「どーも」
「どうも」
『………どうも、はじめ まして』
なんとか返答した私だったが、頭の中は大パニックだった。
“ お友達 ” とは ガチで本当にただの “ お友達 ” だったのか?
その事実を突きつけられた瞬間、私の体内からは
カチッ
と、音がした。
「…おいモモ。なんか、今この人の体から変な音しなかったか?」
「あはは!気にしないで!ただ、仕事スイッチがONからOFFに切り替わった音だから!」
「ど、独特だねぇ」人外?