第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
果たして、今宵はどんなお友達と引き合わせてくれるのだろうか。そんなワクワクを胸に、指定された焼肉屋の席にて百を待つ。
もちろん個室が用意されていた。そして椅子は4つ。私達の数を除けば、残りは2つだ。今夜は少人数でのパーティらしい。
張り切って、いつもよりも名刺を多く持って来たのだが。どうやらそう数は必要ではないようだ。
「あれ!なんでその格好なの??」
『こんばんは。今日はお招き頂き ありが』
「この焼肉パーティは完全プライベートなんだから、女の子の格好で来ても良かったのになぁ」
相変わらず、ノックなんてものは必要ない。とでも言いたげな勢いで部屋に入った百。
そして、エリではなく 春人で現れた私を見て、唇を尖らせて言った。
『いや、そうはいきませんよ。百さんのお友達に、万が一にでも失礼を働く訳にはいきませんから』
「バリバリに仕事スイッチONじゃん!
も〜ぉ、真面目だにゃぁエリちゃんは。今日来るのは本当にプライベートな友達だけなのに」
百が困ったように笑った、その時。私達の前には、2人の男性が現れた。
1人は金髪で、ヤンチャそうなイメージ。もう1人はいかにも真面目そうで、眼鏡をかけている。
「よぅモモ。久しぶりだな」
「わーい!カトちゃん久しぶりー!」
「百、久しぶり。お仕事頑張ってるね」
「えへへ、サトちゃんも久しぶり!仕事は楽しく頑張ってるよ」
百は、金髪の彼をカトちゃん。眼鏡の彼をサトちゃん。と呼んだ。
2人ともかなり若く、百と同じ歳くらいに見える。しかし、人を外見で判断してはいけない。
なにせ、百の “ お友達 ” なのだ。とんでもない肩書きを隠し持っているに違いない。