第30章 あなたの夜のお供に♡モモちゃんでーす
百との焼肉が、嫌なわけではない。
彼の事は好意的に思っているし、一緒に居れば癒されるし楽しいのも事実。
しかし、出来ればもう少し私に余裕がある時に御一緒したい。
『百さん。本当に、申し出はありがたいんですが』
「ちょうど今日の夜さ、友達と焼肉に行く約束してるんだよね!そこに春人ちゃんもおいでよ!」
『え…?』ぴくり
百の “ お友達 ” ?
私の耳が、ピクリと反応した。
「皆んな気のいい友達だから、気を使う必要もないし!春人ちゃんも一緒にワーワー騒いじゃおう!」
「いいじゃない。一緒に楽しんでくれば」
「良かったね春人くん。行っておいでよ!」
百の “ お友達 ” には、以前もお目にかかった事がある。
会食と言う名の焼肉パーティには、大手局のプロデューサーに 有名雑誌社の敏腕記者。それに月9ドラマのスポンサーなど、ありとあらゆる重鎮が揃っていたのだ。
彼らは口を揃えて言った。
自分達は、百の “ お友達 ” だと。
『…百さん。そのお誘い、謹んで受けさせて頂きます』
「おっ!春人ちゃんノリ良いね!」
『私を気遣ってのお誘い、本当に感謝していますよ。ありがとうございます』
接待疲れで、イライラしていたというのに。目の前に棚ぼたチャンスがぶら下がったら、すぐに飛び付いてしまう。
我ながら、自分の貪欲さの底が見てみたいものだ。
「えっへへん。気にしないで?
でも春人ちゃん、こんな優しいモモちゃんに、ちょっとはトキめいたりしちゃった?惚れちゃったりしちゃったりなんかして!?」
『 ええ。私は(各方面に多大なコネを持っていて、さらにそれを私にも惜しみなく提供してくれる)貴方が 大好きです』
「…なんか、いやーな間があったけど、気付かなかった事にしちゃうね!オレってばポジティブモンスターだから!」
「おれ、おかしいな…。モモを見てると、目から水が…」
「春人くんの心の声が、千さんには聞こえたからですよ。ちなみに自分にも聞こえました。多分、百さんにも聞こえてるだろうに…」百さん、健気だ