第27章 ワタシのガールハントセンサーも鈍ったモノです
駐車場へ向かって歩いていると、私を呼ぶ声が聞こえてくる。
「おーーい、えりりん 待って!」
『…四葉さん。どうしたんですか?また誰にも告げず、寮を飛び出して来たんじゃないでしょうね』
「ちげーし。ちゃんと言ってきた。それよか、えりりん なんで敬語?」
環に言われて、はっとした。彼の前でなら、わざわざ春人を演じる必要など無いのだ。素の私で大丈夫…と 頭では分かっているのだが、この格好では上手く切り替えられない。
しかし、意識的にでも敬語をやめてみる。きっとこれも、エリという人格を失わない為になる。
『ご、ごめん。タマちゃん、どうしたの?私、今日はバイクじゃなくて車だから、後ろ乗せてあげられないよ?』
「べつに、バイクじゃなくてもいいって。なぁ!またファミレスいこ、ファミレスー」
『え?今から?』
「だーいじょうぶだって。まだそんなに遅くないし、小学生じゃねえんだから!まだ余裕だから!」
私は腕時計を見る。
まぁあと1時間くらいならば 環の言う通り、高校生の門限の許容範囲内かもしれない。
「駄目だって言われても、ついてくからな。
だって俺、まだ納得してねえから。ヤマさんとの、さっきのあれ」
『なるほど、そっか。
うん、分かった!じゃあ少しだけ、話しようか』
「やったー!」
環は、私と大和の事が気になるらしい。年下の可愛い男の子に こうも慕われて、邪険に出来るほど私は鬼ではない。
私と環は、数ヶ月前にも共に赴いたファミリーレストランへと向かうのであった。