第27章 ワタシのガールハントセンサーも鈍ったモノです
玄関に揃えてある靴へ、強引に足を突っ込む。そしてそのまま、外へと飛び出す。という算段だった。
しかし、私が靴を履いている間に 大和が玄関扉の前へ先回りしていた。
「はぁ…あんた、頑固過ぎだろ。そこまでいくと可愛くないぜ。
昨日の夜は俺の腕の中で、あんなにも可愛くしてたのにな」
『言う事やる事、最低ですね!昨夜、少しでも貴方を愛しいと感じたのは私の気の迷いだったようです!』
「…え?え?私は今、一体 何を聞いているんですか?夢?ドッキリ?」
「非常に面白くなって来ました…!2人はタダれた関係、というやつですね」
外野の声など意にも介さないで、大和を強引に横へと押し退ける。しかし彼は、負けじと私の腕を取る。
『貴方と話す事はもう何もありません。今すぐに離してください』
「離さねえよ。いま離したら、あんたはもう二度と 俺の前で笑わないだろ。本当の姿も見せねえだろ」
『当たり前です。それに “ 特別なお友達 ” という関係とやらも、当然 今この瞬間に解消ですね』
「それが分かってて…誰が離すかよ!」
なんと大和は、掴んだ腕を引いて 私を自分の中へと閉じ込めた。
「!?な、なにこれ、何が、どうなって…ああダメだ俺、頭が…くらくらして、足がふらふらして…」
「環くん大丈夫!?しっかりして!」
腕に、痛いくらい力が込められて 肋骨が軋むくらいに強く抱き締められる。
「本当は、あんたが望むもん全部あげたいし、願うこと全部叶えてやりたいと思ってる。でも…今の俺じゃ全然駄目で…!あんたとの取り引きに、差し出せるもんが何も無い。
自分が我儘言ってる自覚はあるよ。でもな、それでも俺は…お前を失いたくねえんだよ!」
『二階堂さん…』
「…今すぐには無理でも、近い将来 絶対に…約束は守るから」
大和は、愛おしそうに頬を寄せて言った。