第27章 ワタシのガールハントセンサーも鈍ったモノです
他所様の家屋内だという事も忘れて、荒々しく足を踏みならして廊下を歩く。
そしてそんな私の1歩後ろを、大和も同じような足取りで追ってくる。追いかけて来てなど欲しくないのに、彼は私を逃さなかった。
「だから、悪かったって謝ってるだろ」
『謝れば何でも許してもらえるとでも?』
リビングまでが、玄関までが果てしなく遠く感じた。実際はそうでもないのだろうが、体感では100メートルにも200メートルにも感じられるのだ。
「あっ!まじでえりりんだ!なぁなぁなんでここにいんの!?しかもなんでまたヤマさんと一緒に」
「そんな事言ったって、じゃあ俺はどうすれば許してもらえるわけ?」
『許すつもりはありませんと、何度も言っているでしょう』
あまりに怒り心頭な私と、必死でその私を追う大和。リビングからこちらへやって来た環とすれ違っても、2人して気づく事さえ出来なかった。
その見事なスルーっぷりに、環は泣きそうな顔で その場に固まっているというのに。
私達は自分達の事で手一杯。どかどかと早足で、彼を置き去りにした。
「あのさ、そんな子供みたいに駄々捏ねてないで。ほら機嫌直せよ、な?」
『…子供みたいな、駄々?機嫌を直せ?
貴方…自分が悪いって自覚、あるんですか?あるんだったら、そんな言い方は出来ないと思いますけど!』
私はついにリビングに辿り着く。そこには一織とナギ。そして壮五の姿もあったが、私は存在にも気付かず玄関へと一直線。
「WAO!2人とも随分とエキサイティングしていますね!?」
「冷静沈着な中崎さんを、あそこまで憤慨させるなんて。二階堂さんは、一体何を…」
「うぅ、そーちゃん、あの2人、俺を見えてないみたいにすんの。もしかして俺、皆んなから見えなくなった?そーちゃんは俺のこと、ちゃんと見えてる?」
「も、勿論ちゃんと見えてるよ!大丈夫だから泣かないで環くん!」
4人は、私と大和の気迫溢れる言い争いを、恐る恐る遠巻きにして観察していた。