第27章 ワタシのガールハントセンサーも鈍ったモノです
扉が閉まるのを確認してから、私は口を開いた。
『腰、大丈夫ですか?』
「う…。ちょ、やめてくれ…腰だけじゃなくて心も折れそう」
大和は前屈みになって、手頃な高さの棚に片手をついた。こんな調子で、仕事に支障は出なかったのだろうか。
「で?エリはどうしてここに来たわけ?もしかして、昨日の今日で もう俺に会いたくなっちゃったとか?
だとしたら、お兄さん嬉しいんだけど」
『ああ、違います』
「違うのね…相変わらず容赦のないことで」
悲しそうに俯いてしまった大和だったが、追い討ちをかけるように私は告げる。
『 “ 忘れ物 ” を、取りに来たんですよ』
「??俺、あんたから何か預かってたか?」
『はい。私が忘れていたのは “ 千葉志津雄へのコネクション ” です』
「……あー…えっと、さあ」
『こんな重要な事を忘れてしまうなんて、少し気を抜き過ぎていたようです』
「あのさ、エリさん?その事なんですが…」
『何も、今すぐTRIGGERと千葉氏を結び付けて欲しい。とは言いませんよ。まぁでも早い事に越したことはないですけど。
とりあえず、どうやってパイプを繋げてくれるつもりでいるのか、貴方の口から考えを聞きたいと思』
「ちょっと待てって。まじで、一回俺の話聞いてくんない?」
『はい』
大和は、何やら気まずそうに私から目を逸らした。しかし、やがて諦めたように視線を上げた。
「わるい。実は俺、親父とは絶縁状態なんだわ。だから…その…。親父を通して TRIGGERに映画の仕事回したりとか、銀幕界に繋がるコネ作るとかは…難しいと思う」