第27章 ワタシのガールハントセンサーも鈍ったモノです
「本当に中崎さんが いらしてたんですね」
「OH , イオリ…ワタシの言葉は、そんなにも信用なりませんか」ショックです
「とにかく、ここではなんですから中へどうぞ」
『夜分にすみません。お邪魔します』
リビングには、どうやら この2人だけだったようだ。他のメンバーは、仕事か自室にでもいるのだろう。
「どうぞ、スリッパです」
『お構いなく。自前の室内靴を持参していますので』
「…それも、業界人に好かれる為の秘訣か何かですか?私もマイスリッパを持ち歩いた方が…!」
『考え過ぎです。ただのこちらの事情なので気にしないで下さい』
特注の室内履きから注意を逸らす為、私は手土産を一織に手渡した。
狙い通り、2人はそちらの方へ視線を向けてくれた。今の内にこの面倒な、厚底スリッパを履いてしまおう。
「どうも気を遣っていただいて、ありがとうございます」
『いえ、大したものではないのですが』
「Hm…これは 女性が大好きな ラパッパのお芋スイーツ。男だらけの この寮に持ってくるにしては、些か不釣り合いですね?」
「六弥さん、せっかく持って来て下さったのに失礼ですよ」
『甘い物、お嫌いでしたか?では、小鳥遊マネージャーにでも差し上げて下さい』
「はっ!まさか…アナタ!もしやワタシ達のマネージャーを狙っているのですか!?許しませんよ!彼女はワタシ達のエンジェル!あなたには渡しません!」
「えっ、そ、そうなんですか?」
『違います。狙ってません』
「では、なぜわざわざ男所帯にスイーツなのですか!?」
『このお菓子、乳酸菌が100億個入っているからです』
「OH…」100億…
「あなた、手土産選びのセンスが独特ですね」
どうせ食べてもらうのなら、体に良い物をと思っただけなのだが…
とにかく、手土産の話はもういい。早く本題に入らせてもらおう。
『二階堂さんは、いらっしゃいますか?』
「二階堂さん…ですか?
今朝も一緒だったというのに、本当に仲が良くなったんですね」
『あぁべつに、そういうわけではなく…
私が今こうして尋ねて来たのは、彼から ある “ 忘れ物 ” を受け取りに来ただけなんですよ』