第26章 居なくなっちまうんじゃねえの?
「それにしても、意外でした。二階堂さんと中崎さんがご一緒だとは…」
「だよなあ!いおりんもそう思うよな!!だから、ほら!昨日2人で何やってたのか、早く全部話せよ!」
「いや、私はなにもそこまでは…」
否定はしているものの、一織も私達を気にしているのは明白だった。好奇心からだろうか?
やはり落ち着いているように見えても、年相応な面も持ち合わせているのだろう。微笑ましい。
「別に何だっていいだろ?っていうか、普通に飯食って酒飲んで…
夜通し遊んでただけだって。
だよな?春人」
『…はい。まあ』
大和は、私の肩に親しげに手を置いて、にやりと笑った。
「…遊んでたって、何して?ゲームとか?」っていうかベタベタ触んなよな
「はは。ゲームではないかなあ。ま、それは大人だけの秘密ってことで」
「いつの間にか、随分と親しくなられたのですね」
「そうそう。何せ俺達は “ ちょっと特殊な お友達 ” だからな」
良かった。ないとは思うが、もしここで大和が堂々と セフレ などと口走れば…私は彼を締め上げなければいけないところだった。
しかし “ 特殊な友達 ” などと 思わせぶりな形容をしたばかりに、環は喚き、一織は首を傾げた。
それを大和が責任を取ってなだめてみせる。
「ほらほら、早く行かないと遅刻だぞー。学生さんはさっさと学校に行った行った」
大和が手をひらひらさせると、一織が環を引っ張って駅の方へと歩いて行った。
2人の姿が見えなくなっても、私はしばらくその方向を見つめていた。
目線はそのままに、大和へ告げる。
『あまり、彼をいじめないであげて下さいね』
「…春人ちゃんは、ほんとタマには優しいなぁ。その半分でいいから、俺にも優しくして欲しいとこだな」
『こんなにも優しいのにですか?』
「え?それ本気?」
大和は、眉を下げて愉快そうに笑うのだった。