第26章 居なくなっちまうんじゃねえの?
『ん、多分!』
「多分かよ!
はは、なんだろうな…。あんたやっぱ面白いわ!
こういう時ぐらい、絶対!って言えよな」
『だから、もし大和が変わる前に心臓発作にでもなっちゃったら』
「もう発作はいいって!どれだけ心臓発作に怯えてるんだよ」
そう言って 腹を抱えて笑う大和は、今まで見た事のないくらい スッキリとした表情だった。
もし彼が、何かを見出す事が出来たのなら、私は嬉しい。
もし彼が、胸を張ってIDOLiSH7だと、自分を認めてあげられる日が来たのなら、私は嬉しい。
「でもあいつら、許してくれるかな」
『大和が芸能界入りした理由が、千葉氏への復讐の為だったって事?』
「なっ!?どこまで知ってんだよ!ここまで来たら、凄いを通り越して もはや怖いんですけど」
『歪んだ大和の考えそうな事だもん』
「ほんとに容赦ないよな、あんた」
私は、三角座りをして大和と向かい合う。
『それは “ 絶対 ” 大丈夫。
むしろ、今まで1人で抱えてた事に対して怒られるんじゃない?
そんな事で怒るような子、IDOLiSH7にはいないと思う。
それに大和、今はそういう不純な動機でステージに立ってるわけじゃないんでしょう?』
「…本当に、何でもお見通しだな。俺の心の中覗かれてるみたいで気持ち悪い」
『む』
「でも、実際その通りだよ。最初こそ、復讐の事しか頭になかった。
でも 全員でデビューする為に本気で努力して、純粋な気持ちでアイドルやってるあいつら見てたら…。
いつの間にか、俺も毒されてたんだろうな」
『浄化されてた の間違いでは?』
「あー。そうとも言う。
とにかく、今は心から思ってるんだわ。
あいつらと、てっぺん獲りてえってな」
大和は、まるでステージの上に立っている時ような、眩しい笑顔を私に見せてくれた。