第26章 居なくなっちまうんじゃねえの?
大和は頭を抱え、顔を下に向けてしまう。
私はシーツで胸元を隠しつつ、もう片方の手で大和の頭を撫でる。
『…うん、ダサいね、大和』
「相変わらず容赦がねえな…。優しくしろよ、ここは」
『あはは。でも私、ダサい大和も、面倒くさい大和も好きだから』
「それはもういいっつーの!」
『それに、私はやっぱり大和と似たところがあるから、貴方の気持ちよく分かる。
っていうか、最近まで私もそうだったから』
大和の髪を撫でながら、少し前までの自分に想いを馳せる。
『他人を信じるのが怖くて、自分をさらけ出すのが嫌いで。
人に頼るイコール迷惑。って考えてた。
でも、意外と相手はそうは捉えないんだよね。
私が両手に大荷物抱えて、ひーひー言いながら運んでる。それを見て、3人は “ 何やってるんだよ ” って笑うの。
それで、強引に私の手から1つずつ荷物を取り上げて、いつの間にか、一緒に運んでくれてる。
そしたらね、あんなに重かった荷物が軽くなって。それに、4人で歩いて運ぶのが楽しくて仕方がないって、気付くの。
こういう大切な事、教えてくれたのは、タマちゃんとTRIGGERの3人。私が変われるよう、きっかけをくれたの。
でも、私もまだまだ修行中だから。少し気を抜いたら、元に戻りそうになっちゃう。気が付いたら、1人でなんとかしなきゃいけないって思い込んでる。
でも、変わろうって…変わりたいって頑張ってるよ。
だから、大和もきっと大丈夫。気持ち次第で、絶対に変われるよ。私と一緒に “ 誰かに寄り掛かかる ” って事 覚えよ?』
黙って、真剣に、私の長話に耳を傾けていた大和。
本当に長い時間、考え込むような表情をしていた。やがて、ゆっくりと口を開いた。
「……人は、簡単には変われねえよ。
でも、このままじゃ良くないってのは、分かるから。
変わりたいよ。俺も。
なぁ、出来ると思うか?俺も、あんたみたいに。
仲間を、頼るって事」