第26章 居なくなっちまうんじゃねえの?
肌と肌を重ねれば、同時に互いの気持ちも近付くとは、よく聞く言葉だけれど。
本当にその通りだと、心底 思う。
第一印象こそ良くなかった大和が、今はこんなにも愛しい存在に見えてしまうのだから。
『大和』
「ん?」
『私、大和の事好きだよ』
「と、唐突だな!
そんなふうに真っ直ぐ言われちゃ、何て答えていいか…えっと」
『千葉志津雄の息子の、大和が好き』
「……は?」
『面倒くさい男代表!みたいな大和が好き』
「おい」
『それに…
IDOLiSH7の、1/7の二階堂大和が 好き』
「……」
『きっとね、IDOLiSH7の皆んなも 私と同じ気持ちだと思う。
だから、胸を張って、言っていいんだよ。
“ 俺は、IDOLiSH7の 二階堂大和だ ” って』
大和は、千葉志津雄の隠し子だという爆弾を抱えて、悩んでいる。
自分がスキャンダルの種だと自覚している。だからこそ、IDOLiSH7に迷惑をかけるのではないかと悩んでいる。
しかし、きっとメンバー達は それを迷惑だとは思わないはず。
気にしているのは、大和本人だけなのだ。
もっと皆んなを “ 信頼 ” して “ 信用 ” して、頼ってしまえばいい。
しかし二階堂大和は、それが出来ない男なのだろう。
『貴方が、春人に腹を立てたのは、春人の中に自分を見たから。
利用出来るものなら何でも利用して、汚い手を使ってでものし上がる。そんな思想を持つ人間に、自分を重ねた自己嫌悪。
でも そんな春人も実は、TRIGGERと信頼関係にあるんだって分かった時…。貴方はより腹立てた。
その理由、今なら分かるよ。
大和、貴方は』
「あぁ。
〜〜〜っあぁ!そうだよ!俺は…、俺は、あんたが羨ましかったんだ!
仲間を心から信用出来る、仲間から信じて貰ってるあんたが!
ただ 羨ましくて、俺も 欲しくて…子供みたいにムカついて、あんたに八つ当たりして…
くそ、駄目だな。もう、なんつーかダサ過ぎる。今すぐ消えてなくなりてえぐらいに」