第25章 その綺麗な顔が、どんなふうに歪むのか
『二階堂さんから、どうなってんの?って聞いたくせに…。
まぁいいや!それより、次の私のお願いは』
「え?次は俺の番だろ?」
『……??』
バスローブ姿で、ぴょんとベットに座った私に、大和は言い放った。
「はは。まさかとは思うが忘れちまったのか?
そっちのお願いは、さっき叶えたろ」
『……もしかして』
「そ。あんたが “ シャワー浴びたい ” って言ったから、俺は快く “ はーい、どうぞいってらっしゃーい ” って 快諾したわけだ」
『な…なんて卑怯な』
「なんとでもどうぞ」
悪びれる様子は微塵もなく、大和はニヒルに笑う。
『はぁ…まぁいいや。じゃあどうぞ。次のご要望は?』
「俺に、見せてくんない?」
『…何が、見たいの』
「あんたのその綺麗な顔が、どんなふうに歪むのか」
喉元に、ナイフでも突き付けられたのかと錯覚する。それくらい、部屋の空気が急激に張り詰めたのだ。
彼から発された冷気に当てられて、体が金縛りにあったように動かない。首が締められたみたいに声が出ない。
そんな私から彼は一度視線を外す。そして、テーブルの上に置かれたロックグラスからウィスキーを煽った。
相変わらず、鋭い眼光。まるで、心臓を撃ち抜かれてしまいそう…
そして、その鋭い眼光のまま、彼は私の座るベットへと歩み寄るのだった。