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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第25章 その綺麗な顔が、どんなふうに歪むのか




互いの要求を交互に飲む。
言い換えれば、相手から要求されれば逃げる術はない。ということだ。
逃げ道を塞がれたのは、私か。はたまた彼の方か。

私達の、目に見えない攻防はまだまだ続きそうだ。


『教えて貰えますか?
私が Lio だと、どこで調べたんです?』

「せっかく あんたのターンなのに、そんな質問だけでいいわけ?」

『私にとっては死活問題です』

「調べるも何も、タマから教えてもらっただけなんだよな」


大和は、いつのまにか空になった酎ハイの缶をベコっと潰す。
ゴミ箱に缶を捨てたその足で、備え付けの酒棚からウィスキーのボトルを手に取る。

ロックグラスを2つ並べ、すぐに琥珀色の液体を注ぎ入れた。
そんな慣れた手つきを眺めながら、私は言い切る。


『嘘ですね。彼は、絶対に言いません』

「…へぇ。随分とタマの事、信頼してるんだな」

『卑怯じゃないですか。
互いの要求には、応えるんじゃなかったんですか?』

「嘘 付いちゃ駄目。なんてルールは決めてなかったろ?」


まるで子供のような言い分に、じとっと彼を睨む。すると彼は楽しそうに笑って、手にしていたグラスをテーブルの上に置いた。


「ははっ、分かったって!ちゃんと答えるからそう睨むなよ。

あんたの言う通り、タマは直接口にしたわけじゃない。けど、あいつは分かり易すぎるんだよ。
良く言えば、純粋で裏表がない。
悪く言えば…透っけ透けなんだわ」

『……すけすけ』

「そ。タマがあんたを見る目、とても同性を見る目じゃない。それに加えて、えりりん えりりん ってあんたを呼ぶ。さらに駄目押しで、突然 Lio の事を調べ出した。今まで微塵も興味なかったアーティストについてな。

分かったろ?タマにバレた時点で、お前さんはもう詰んでたわけ」

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