第25章 その綺麗な顔が、どんなふうに歪むのか
「ま!あれだわ。
勝手に同類だと思ってた奴が、意外とイイ奴だったからガッカリした。多分そんなとこだろ!
変な事言って悪かったな」
本当に、そうなのだろうか。
彼がここまで自分を卑下する訳は?そして、未だ自らをIDOLiSH7として認めていない雰囲気。さらに千葉氏の隠し子であるという生い立ち。
これらを加味して考えれば、私に腹を立てる理由も見えて来そうなものだが…
それにしても、この二階堂大和という男。粗雑を気取ってはいるが その実、内には仄暗いものを秘めている。そう感じざるを得ない告白であった。
「そ、そんなに睨まないでもらえると、ありがたいんだけど…。
あぁもう悪かったって!ほら、冷めない内に お前さんも食えよ」
『はい、分かりました』
「ほれ。白、どれにする?」
『ワインはあまり詳しくないんですよ。二階堂さんのおすすめか、お店のおすすめでお願いします』
「俺もこだわりとか無いから、適当に持って来てもらうか」
大和は手を挙げボーイを呼ぶ。彼らはワインリストを見ながら、ごく短い時間で 頼むべきグラスワインを決めた。
やはり魚には白ワインだ。ボーイが持って来たスッキリとした白ワインは、料理によく合った。素晴らしいマリアージュだ。
「普段は何飲んでんの?」
『私が “ 呑んべい ” だという前提なんですね』
「俺ぐらいの呑んべいにはな、相手が呑んべいかどうかぐらい分かんだよ」
『凄いですね』
「嘘だってば。あんた意外とピュアだな」
正直に答える気が失せそうになるも、なんとか真実を答える。
『普段はカクテルを。二階堂さんは?』
「そうだなぁ…
氷結ストロングとワンカップ大関?」
『さては貴方、呑んべいの代表格ですね』